【発達障害】障害者雇用の求人はどう探す?失敗しない選び方と支援ガイド

男性が求人を探している

この記事では、発達障がいのある方がご自身の特性を「強み」として活かし、ミスマッチのない職場で安定して働き続けるための、具体的な就職活動の進め方と成功への鍵を網羅的に解説します。 漠然とした不安を、実現可能なキャリアプランへと変えるために。この記事を最後まで読むことで、以下の点が明確になります。

【この記事で分かること】
  • ASD・ADHD・LDといった発達障がいの特性が、仕事でどのように「強み」と「課題」になるのか
  • 自分に合った求人情報を見極めるための、具体的なチェックポイントと情報の読み解き方
  • 面接で自身の特性を前向きに伝え、企業から必要な配慮を得るための自己PR術
  • 就労移行支援や就労継続支援B型など、一般就労だけではない多様な働き方の選択肢

この記事は、ご自身の特性と向き合いながら、自分らしいキャリアを築きたいと願う、以下のような方々に向けて執筆しています。

【こんな方におすすめ】
  • 自分の発達障がいの特性を、仕事でどう活かせばいいか分からない方
  • これまでの職場でミスマッチを感じ、早期離職を経験したことがある方
  • 就職活動、特に面接での自己PRや障がいに関する伝え方に不安を感じている方
  • 一人で就職活動を進めることに限界を感じ、専門的なサポートを受けたいと考えている方

この記事が、あなたの能力を最大限に発揮できる職場を見つけるための、信頼できる羅針盤となれば幸いです。

発達障がいに関する基本情報

発達障がいの定義と種類

発達障がいとは、生まれつきの脳機能の発達にアンバランスさがあることで生じる障がいです。これは本人の努力不足や、親の育て方が原因で起こるものではありません。多くの場合、その特性は幼少期から現れ始めますが、大人になってから社会生活の中で困難を感じ、診断に至るケースも少なくありません。

発達障がいは、その特性の現れ方によっていくつかの種類に分類されます。また、複数の特性を併せ持つことも珍しくありません。主な種類としては、以下のものが挙げられます。

  • 自閉スペクトラム症(ASD) 対人関係の構築や、他者の気持ちを推測することが苦手な傾向があります。また、特定の物事への強いこだわりや、感覚の過敏さ(または鈍感さ)といった特性が見られることがあります。コミュニケーションの取り方が独特であったり、冗談や皮肉が伝わりにくかったりすることもあります。
  • 注意欠如・多動症(ADHD) 「不注意」「多動性」「衝動性」という3つの特性が主な症状です。
    • 不注意: 集中力が続きにくい、忘れ物や失くしものが多い、約束を忘れてしまうなど。
    • 多動性: じっとしていることが苦手で、そわそわと動き回ってしまうなど。
    • 衝動性: 思いついたことをすぐに行動に移す、人の話を遮って話し始めるなど。
  • 学習障がい/限局性学習症(LD/SLD) 全般的な知的発達に遅れはないものの、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算する」「推論する」といった特定の能力の習得や使用に著しい困難が生じる状態を指します。例えば、文字が歪んで見えたり、文章をスムーズに読めなかったりすることがあります。

これらの障がいは、明確に分かれているわけではなく、それぞれの特性が重なり合って存在することもあります。一人ひとり特性の現れ方は異なり、これらは障がいであると同時に、その人の「個性」や「強み」として捉えることもできます。

発達障がい者の就労における特性

発達障がいの特性は、仕事の場面において、得意なこと(強み)と苦手なこと(課題)の両面として現れることがあります。ご自身の特性を理解することは、能力を発揮しやすい仕事や、働きやすい職場環境を見つけるための重要な手がかりとなります。ここでは、障がいの種類ごとに、就労における主な特性の傾向を見ていきましょう。

これらの特性は、環境や業務内容によってプラスにもマイナスにも作用します。例えば、ASDの「こだわり」は、品質管理のような正確性を求められる仕事では大きな強みになります。また、ADHDの「多動性・衝動性」は、フットワークの軽さや行動力として営業職などで活かせる可能性があります。

以下に、障がい種別ごとの仕事における特性の例をまとめます。

障がいの種類得意なこと(強み)の例苦手なこと(課題)の例
自閉スペクトラム症(ASD)・ルールやマニュアルに沿った正確な作業・関心のある分野での高い集中力・論理的思考や分析
・誠実で真面目な勤務態度
・曖昧な指示の理解・急な予定変更や環境変化への対応・複数業務の同時進行(マルチタスク)
・雑談など意図の不明確な会話
注意欠如・多動症(ADHD)・独創的なアイデアの発想・興味のあることへの行動力と集中力・好奇心旺盛で新しいことに挑戦できる
・フットワークが軽く、エネルギッシュ
・単純作業やルーティンワークの継続・時間管理やスケジュール調整・ケアレスミス(見落とし、抜け漏れ)
・優先順位をつけて計画的に進めること
学習障がい(LD/SLD)・「読む」「書く」「計算する」など特定の苦手分野以外の能力・口頭でのコミュニケーション
・特定の分野における専門スキル
・マニュアルや資料を読むこと・報告書やメールなど文章を作成すること・数字の計算や管理
※困難を感じる部分は個人差が大きい

上記はあくまで一般的な傾向であり、特性の現れ方は一人ひとり異なります。また、複数の障がいの特性を併せ持つ方も少なくありません。大切なのは、画一的な見方をするのではなく、自分自身の得意・不得意を客観的に把握し、それを活かせる、あるいは工夫によってカバーできる環境を探すことです。

発達障がい者のための求人情報の重要性

発達障害と就労の現状

近年、発達障がいへの社会的な理解は少しずつ進み、障害者雇用などを通じて、企業で働く発達障がいのある方は増加傾向にあります。働く意欲が高い方も多く、その能力を社会で発揮する機会は広がっています。

しかしその一方で、就職後の職場定着においては、依然として課題が見られるのも現状です。その背景には、本人の持つ特性と、仕事内容や職場環境とのミスマッチがあります。

  • 業務内容とのミスマッチ ご自身の苦手なことを求められる業務が続くと、本来の能力を発揮しにくいだけでなく、精神的な負担が大きくなります。例えば、マルチタスクが苦手な方に複数の業務を同時に依頼する、といったケースが挙げられます。
  • 職場環境とのミスマッチ 感覚過敏がある方にとって、人の出入りが激しい、あるいは電話が頻繁に鳴るオフィス環境が集中を妨げたり、急な予定変更が多い職場文化がストレスになったりすることがあります。
  • 人間関係の課題 コミュニケーションの特性から、意図せず誤解を招いてしまったり、職場での円滑な人間関係の構築に難しさを感じたりするケースも少なくありません。

こうしたミスマッチは、早期離職の要因となり得ます。そのため、就職活動においては、ご自身の特性を理解した上で、能力を活かせる仕事内容か、安心して働ける環境が整っているか、といった視点から求人情報を吟味することが非常に重要になります。自分に合った求人情報を見極めることが、長く安定して働き続けるための第一歩と言えるでしょう。

求人情報の選び方

自分に合った職場を見つけるためには、求人情報の中から必要な情報を読み解き、自身の特性と照らし合わせることが不可欠です。給与や勤務地といった条件だけでなく、仕事内容や職場環境が自分に合っているかという視点で、多角的に情報を吟味することが、ミスマッチを防ぐ鍵となります。

求人情報を見る際には、特に以下の点に注目すると良いでしょう。

  • 具体的な業務内容 「事務全般」のような曖昧な表現ではなく、「データ入力」「伝票整理」「電話応対」など、具体的な業務内容が明記されているかを確認します。自身の得意なこと・苦手なことと照らし合わせ、能力を発揮できそうか、あるいは過度な負担にならないかを判断する材料になります。例えば、正確性が求められる定型業務が得意な場合は、「マニュアルに沿った作業」といった記載があると安心材料になります。
  • 求める人物像 企業がどのような人材を求めているかを示す項目です。「コツコツと真面目に取り組める方」「探求心が旺盛な方」など、自身の強みと重なるキーワードがあるかを探してみましょう。一方で、「高いコミュニケーション能力」といった抽象的な表現の場合は、具体的にどのような場面でのコミュニケーションを指すのか、面接などで確認する必要があるかもしれません。
  • 障害への配慮に関する記載 障害者雇用枠の求人では、「合理的配慮の具体例」として、企業が提供できるサポート体制が記載されていることがあります。
    • 業務指示の方法(口頭、チャット、マニュアルなど)
    • 業務量の調整
    • 通院への配慮
    • 相談窓口の有無
    • 物理的な環境(パーテーションの設置、騒音への配慮など) これらの情報から、企業側の理解度や受け入れ態勢を推し量ることができます。
  • 働き方の柔軟性 心身のコンディションを整えながら働く上で、働き方の選択肢は重要です。フレックスタイム制度や在宅勤務、時短勤務の可否など、柔軟な働き方が可能かどうかを確認しましょう。

求人票に書かれている情報だけでは、職場の実際の雰囲気を把握するのは難しい場合もあります。可能であれば、企業の公式ウェブサイトでダイバーシティに関する取り組みを調べたり、就労移行支援事業所や障害者専門の転職エージェントなど、企業の内部情報に詳しい専門機関に相談したりすることも有効な手段です。

発達障がい者が求める職場環境

フレキシブルな勤務形態

発達障がいのある方にとって、日々のコンディションを一定に保つことや、通勤時の人混みなどが負担になることがあります。そのため、働き方を柔軟に調整できる勤務形態は、パフォーマンスを安定させ、長期的に就労を続ける上で非常に重要な要素となります。

職場環境を選ぶ際には、以下のようなフレキシブルな勤務制度が導入されているかどうかも、一つの判断基準になります。

  • フレックスタイム制度 定められたコアタイム(必ず勤務すべき時間帯)を除き、始業・終業時刻を自分で決められる制度です。通勤ラッシュを避けて出勤したり、体調に合わせて勤務時間を調整したりすることが可能になります。
  • 在宅勤務(テレワーク) オフィスに出社せず、自宅など慣れた環境で仕事をする働き方です。通勤による心身の負担を軽減できるほか、音や光などの外部からの刺激を調整しやすく、感覚過敏のある方などが集中しやすい環境を整えやすいという利点があります。
  • 時短勤務・勤務日数の調整 1日の所定労働時間を短縮したり、週の勤務日数を減らしたりする働き方です。フルタイムでの勤務に体力的な不安がある場合や、通院と仕事を両立させたい場合に有効な選択肢となります。

これらの制度は、個々の特性や状況に応じて働くペースを自己管理しやすくするものです。求人情報で制度の有無を確認することはもちろん、面接の機会などを利用して、制度の利用実績や利用しやすい雰囲気があるかといった、実際の運用状況について確認することも大切です。

サポート体制の充実

安心して能力を発揮し、長く働き続けるためには、制度面だけでなく、職場における人的・組織的なサポート体制が整っているかどうかも重要なポイントになります。特性によって生じるかもしれない困難を、個人の努力だけで乗り越えるのではなく、組織として支える仕組みがある環境は、心理的な安全性を高め、仕事への集中を助けます。

具体的には、以下のようなサポート体制が挙げられます。

  • 業務指示の明確化と視覚的なサポート 口頭での指示だけでなく、チャットやメール、図解入りのマニュアルなど、視覚的に理解できるツールを用いて指示を出してもらえる環境は、認識の齟齬を防ぎ、業務の正確性を高めます。タスクリストの活用や、業務の優先順位を明確に示してもらうといった配慮も有効です。
  • 定期的な面談と相談窓口の設置 業務上の困りごとや人間関係の悩みなどを気軽に相談できる場があることは、問題を一人で抱え込まずに済むために不可欠です。上司との定期的な1on1ミーティングや、専門の相談窓口、メンター制度などが整備されていると、安心して働くことができます。
  • 業務量やスケジュールの調整 体調の波や疲れやすさに合わせて、業務量を調整してもらえたり、突発的な業務を減らしてもらえたりする配慮も重要です。事前にスケジュールが共有され、急な変更が少ない職場環境は、見通しを持って仕事に取り組む上で助けになります。
  • 物理的な環境への配慮 感覚過敏のある方のために、パーテーションで仕切られた静かな座席を用意してもらえたり、照明の明るさを調整してもらえたりするなど、物理的な環境への配慮も大切なサポートの一つです。

これらのサポート体制は、求人票に明記されていない場合もあります。面接の際に、障がいのある社員がどのように働いているか、どのような配慮の実績があるかなどを具体的に質問することで、その企業の受け入れ態勢を確認することができます。

発達障がい者向けの人気求人

在宅勤務可能な求人

在宅勤務(テレワーク)は、発達障がいのある方にとって特に人気のある働き方の一つです。通勤による心身の負担や、オフィス環境での感覚的なストレスを軽減できるため、自分のペースで集中して仕事に取り組みやすいという大きなメリットがあります。

在宅勤務が可能な求人には、特定のスキルや集中力が求められる専門職が多く、ご自身の強みを活かせる可能性があります。

  • IT関連職(プログラマー、Webデザイナーなど) 論理的思考力や高い集中力を活かせる仕事です。仕様書やマニュアルに沿って、一人で黙々と進める作業が多いため、自閉スペクトラム症(ASD)の特性を持つ方に適している場合があります。
  • Webライター、データ入力 正確性や几帳面さが求められる仕事です。マニュアルに沿った定型的な作業が得意な方や、文章作成が好きな方に向いています。納期を守りながら自分のペースで進められる点も魅力です。
  • 事務、経理 近年、バックオフィス業務でも在宅勤務を導入する企業が増えています。データ集計や書類作成など、ルールが明確な業務は、見通しを持って取り組みやすいでしょう。
  • カスタマーサポート(メール・チャット対応) 電話応対が苦手でも、テキストベースのコミュニケーションであればスムーズに対応できるという方もいます。相手の表情や声色から意図を読み取る必要がないため、精神的な負担が少ない場合があります。

ただし、在宅勤務は自己管理能力が求められる働き方でもあります。求人を選ぶ際は、「在宅勤務可」という条件だけでなく、業務の指示方法(チャット、Web会議など)、進捗管理の仕組み、困ったときに相談できるサポート体制が整っているかなどを確認することが、ミスマッチを防ぐ上で重要になります。

未経験者歓迎の求人

社会人経験が少ない方や、これまでの仕事でミスマッチを感じて新しい分野へ挑戦したいと考えている方にとって、「未経験者歓迎」の求人は魅力的な選択肢となります。多くの場合、このような求人では、業務に必要な知識やスキルを一から学べる研修制度や、手順が明記されたマニュアルが整備されています。これは、体系的に仕事を覚えたい方や、ルールに沿って正確に業務を進めることが得意な方にとって、安心して働き始めるための大きな助けとなるでしょう。

未経験からでも始めやすい職種としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 事務職 データ入力や書類整理、ファイリングといった定型的な業務が中心です。マニュアルが完備されていることが多く、自分のペースでコツコツと取り組むことができます。
  • 軽作業・製造ライン 検品、梱包、組み立てなど、手順が明確に決まっている作業です。対人コミュニケーションの機会が比較的少なく、一人で黙々と集中したい方に適している場合があります。
  • ITエンジニア(研修制度あり) 近年、未経験者を対象とした手厚い研修制度を設けて人材を育成する企業が増えています。論理的思考力や探求心といった強みを活かし、専門スキルを身につけることが可能です。
  • 清掃・ビルメンテナンス 担当する範囲や作業手順が決まっており、自分の裁量で仕事を進めやすい職種です。体を動かすことが好きな方にも向いています。

ただし、「未経験者歓迎」の求人を選ぶ際には、いくつか確認しておきたい点があります。

  • 研修制度の具体的内容 「研修あり」と記載があっても、それがOJT(実務を通した指導)のみなのか、あるいは座学で基礎から学べる期間が設けられているのかによって、入社後の安心感は大きく異なります。
  • サポート体制の有無 業務で分からないことがあった際に、誰に、どのように質問できるかが明確になっているかを確認しましょう。メンター制度など、気軽に相談できる先輩社員がいる環境だと心強いです。
  • 業務内容と特性の相性 例えば、「誰でもできる簡単な作業」とされていても、単純作業の繰り返しが苦手な特性(ADHDの傾向など)を持つ方にとっては、逆に苦痛となる可能性も考慮する必要があります。

未経験から新しいキャリアをスタートさせることは、自身の新たな可能性を発見する良い機会にもなります。求人情報とご自身の特性を丁寧に照らし合わせ、長期的に活躍できる職場を見つけることが大切です。

発達障がい者のための面接対策

自己PRのポイント

面接における自己PRは、ご自身の特性を理解し、それを仕事でどのように活かせるかを企業に伝える重要な機会です。単に長所をアピールするだけでなく、得意なことと苦手なことの両面を正直に、かつ前向きに伝えることで、入社後のミスマッチを防ぎ、自分らしく働ける環境を見つけることにつながります。

1. 「強み」は具体的なエピソードを交えて伝える

ご自身の特性からくる「強み」を、具体的な経験やエピソードを交えて説明することで、採用担当者はあなたが実際に働く姿をイメージしやすくなります。

  • 例1(ASDの特性を活かす場合) 「私の強みは、ルールや手順に沿って正確に作業を遂行できる点です。前職では、商品の在庫データを毎日チェックし、マニュアル通りに入力する業務を担当していました。細かな数字の違いにも気づきやすく、入力ミスがほとんどなかった点を評価していただきました。」
  • 例2(ADHDの特性を活かす場合) 「好奇心が旺盛で、新しいアイデアを出すことが得意です。企画会議では、既存の枠にとらわれない視点から意見を出すことで、議論の活性化に貢献した経験があります。」

2. 「苦手なこと」は対処法とセットで伝える

苦手なことや課題について正直に伝えることは、企業側が適切な配慮を検討するための大切な情報提供になります。ただし、「できません」と伝えるだけでなく、ご自身で実践している工夫や対処法、そして企業に求める配慮をセットで伝えることがポイントです。

苦手なこと(課題)の例ご自身での対処法(工夫)企業に求める配慮の例
口頭での複雑な指示を一度に覚えること・必ずメモを取るようにしています。
・指示をいただいた後、内容を復唱して確認します。
可能であれば、チャットやメールなどテキストで指示をいただけると助かります。
複数の業務を同時に進めること・タスクリストを作成し、優先順位を明確にしています。
・一つの作業に集中できる時間を確保するようにしています。
一度に指示する業務を一つに絞っていただくなど、ご配慮いただけると幸いです。
急な予定変更への対応・事前に一日のスケジュールを立てて行動しています。
・変更があった際は、まず落ち着いて状況を整理する時間をとります。
可能な範囲で、予定変更は早めに共有いただけると、落ち着いて対応できます。

このように伝えることで、課題への自己理解と、それに対する問題解決能力があることを示すことができます。

3. 企業への貢献意欲と結びつける

最後に、ご自身の強みが応募先の企業でどのように活かせるのか、貢献できるのかを具体的に伝えます。求人情報に書かれている「業務内容」や「求める人物像」と、ご自身の特性を結びつけて話すと、説得力が増します。

「貴社の〇〇という業務は、正確性が求められると伺っております。私の『細部まで注意深く確認できる』という強みを活かし、品質向上に貢献できると考えております。」

自己PRは、自分と企業がお互いを理解し、良い関係性を築くための第一歩です。飾らず、正直に、そして前向きな姿勢で臨むことが大切です。

面接時の注意点

面接は、企業側が応募者を評価する場であると同時に、応募者自身が「この会社で本当に働けるか」を見極めるための大切な機会でもあります。過度に緊張せず、対等な立場でコミュニケーションを取ることを心がけると良いでしょう。ここでは、面接当日に意識しておきたい注意点をいくつか紹介します。

  • 事前準備を丁寧に行う 当日の不安を少しでも減らすために、準備は万全にしておきましょう。持ち物の確認、面接会場までのルートや所要時間の確認は前日までに済ませておくと安心です。また、想定される質問への回答や、企業へ質問したいこと(逆質問)をまとめたメモを用意しておくことも有効です。
  • 基本的なビジネスマナーを意識する 清潔感のある服装や髪型といった身だしなみは、第一印象を左右します。また、約束の時間の5~10分前には到着するように行動しましょう。受付での挨拶や、面接官への丁寧な言葉遣いなど、基本的なマナーを守ることで、社会人としての基礎が備わっていることを示すことができます。
  • コミュニケーションの工夫 緊張すると早口になったり、逆に黙り込んでしまったりすることがあります。特性上、話が長くなる傾向がある場合は、「結論から先に話す」ことを意識すると、要点が伝わりやすくなります。また、事前に準備したメモを見ながら話したい場合は、「メモを見ながら失礼します」と一言断りを入れると丁寧な印象になります。無理に視線を合わせ続けるのが苦手な場合は、相手の眉間や鼻のあたりを見るようにすると、自然な印象を保ちやすいです。
  • 正直に、かつ前向きな姿勢で答える 質問に対して、できないことや苦手なことを無理に「できます」と答える必要はありません。それは入社後のミスマッチにつながる可能性があるためです。「自己PRのポイント」でも触れたように、苦手なことについては、それを補うための工夫や対処法とセットで正直に伝えましょう。誠実な姿勢は、信頼感につながります。
  • 「逆質問」の時間を有効活用する 面接の最後に設けられることの多い「何か質問はありますか?」という時間は、企業への理解度を示すだけでなく、自身が働きやすい環境かどうかを確認する絶好の機会です。入社後のミスマッチを防ぐためにも、気になる点は積極的に質問しましょう。

<逆質問の例>

  • 業務内容について:「配属予定の部署では、具体的にどのような業務から担当することになりますか?」サポート体制について:「業務で分からないことがあった場合、どなたに質問すればよいでしょうか?」「障がいのある社員の方に対して、これまでどのような配慮をされた実績がありますか?」
  • 職場の環境について:「チームの皆さんは、普段どのような方法でコミュニケーションを取ることが多いですか?(チャット、口頭など)」
  • 研修制度について:「入社後の研修制度について、具体的に教えていただけますか?」

面接は、自分という人材を売り込む場であると同時に、企業との相性を確認する場です。準備をしっかり行い、落ち着いて自分自身の言葉で対話することを心がけましょう。

よくある質問(FAQ)

発達障がい者の就職に関する疑問

就職活動を進める上で、発達障がいのある方が特に抱きやすい疑問や不安について、Q&A形式で解説します。ご自身の状況と照らし合わせながら、就職活動の参考にしてください。

Q1. 自分の障がいについて、企業に伝えるべきか迷っています。

A1. 障がいを開示して就職活動を行うことを「オープン就労」、開示しないことを「クローズ就労」と呼びます。それぞれにメリットとデメリットがあるため、どちらが良いかは一概には言えません。ご自身の特性や求める働き方を踏まえて、慎重に判断することが大切です。

オープン就労クローズ就労
メリット・障がい特性への理解や配慮(合理的配慮)を得やすい・通院などにも柔軟に対応してもらいやすい・ありのままの自分で働けるため、心理的負担が少ない
・就労後の定着支援を受けやすい
・障害者雇用枠に縛られず、幅広い求人に応募できる・障がいへの先入観や偏見を持たれにくい
・昇進やキャリアパスにおいて、障がいを理由とした制約を受けにくい可能性がある
デメリット・求人数が一般雇用に比べて少ない場合がある・応募できる職種が限られることがある
・障がいに対する理解が不十分な企業もある
・業務上での困難を自己対処する必要がある・周囲の理解を得られず、孤立感を感じることがある
・特性に合わない業務や環境でも無理をしてしまい、心身の不調につながりやすい

Q2. 就職するために、障害者手帳は必ず必要ですか?

A2. 企業の障害者雇用促進法に基づく「障害者雇用枠」での就職を目指す場合は、原則として障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳など)の所持が応募条件となります。一方で、障がいを非開示にするクローズ就労(一般雇用枠)で応募する場合には、手帳は必要ありません。 また、就労移行支援事業所などの福祉サービスを利用する際には、手帳がなくても医師の診断書や意見書で利用が可能な場合がありますので、お住まいの自治体や支援機関にご確認ください。

Q3. 発達障がいのある人には、どのような仕事が向いていますか? 

A3. 「この仕事が絶対に向いている」というものはなく、一人ひとりの特性によって適性は異なります。大切なのは、特定の「職種」で選ぶのではなく、ご自身の「得意」を活かせ、「苦手」への配慮が得られる「業務内容」や「職場環境」かどうかで判断することです。 ご自身の強みが何であるかを自己分析し、それを活かせる環境を探すことが、長く働き続けるための鍵となります。

Q4. 一人で就職活動を進めることに不安があります。どこか相談できる場所はありますか?

A4. はい、一人で抱え込まずに利用できる専門の支援機関が複数あります。それぞれの機関に特徴がありますので、ご自身の状況に合った場所へ相談することをおすすめします。

  • 就労支援事業所 就職に必要なスキルを身につけるための訓練から、求人探し、面接対策、就職後の定着支援まで、一貫したサポートを受けることができます。
  • ハローワーク 障がいのある方向けの専門窓口が設置されており、求人紹介や職業相談に応じてくれます。
  • 地域障害者職業センター ハローワークと連携し、より専門的な職業評価や職業リハビリテーションの支援を提供しています。
  • 障害者就業・生活支援センター(なかぽつ) 就職に関する支援だけでなく、生活面も含めた総合的な相談が可能です。
  • 障害者専門の転職エージェント 民間のサービスで、非公開求人を含め、個々のスキルや特性に合った企業とのマッチングを専門のキャリアアドバイザーがサポートしてくれます。

求人情報の探し方

Q. 発達障がいの特性に合った求人は、具体的にどこで探せばよいですか?

A. 発達障がいのある方が利用できる求人情報の探し方には、公的な支援機関から民間のサービスまで、様々な選択肢があります。それぞれに特徴があるため、ご自身の状況や希望に合わせて、複数の方法を組み合わせて利用することが効果的です。

主な探し方として、以下のような場所が挙げられます。

  • ハローワーク(公共職業安定所) 全国に設置されている公的な機関です。障がいのある方向けの専門窓口があり、専門知識を持つ職員が職業相談や求人紹介を行ってくれます。地域に密着した求人が多いのが特徴です。
  • 就労支援事業所 就職に必要なスキルのトレーニングを受けながら、求人探しや面接対策、職場実習など、就職活動全般のサポートを受けられる福祉サービスです。事業所によっては、独自の求人情報を持っている場合もあります。
  • 障害者専門の転職エージェント 民間の人材紹介サービスで、障がい者雇用を専門としています。専門のキャリアアドバイザーが面談を通じて個々の特性や希望をヒアリングし、非公開求人を含めた中からマッチする企業を紹介してくれます。
  • 一般の求人サイト 一般的な転職サイトや求人情報サイトでも、障がい者雇用に関する特集ページが設けられていたり、「障害者採用」「合理的配慮」といったキーワードで検索したりすることが可能です。情報量が豊富で、自分のペースで探せる点がメリットです。

それぞれの特徴を、以下の表にまとめます。

探し方の種類主な特徴こんな方におすすめ
ハローワーク・公的機関ならではの安心感・地域の求人が豊富
・無料で利用できる
・まずどこに相談すればよいか分からない方
・地元での就職を希望する方
就労支援事業所・訓練から定着支援まで一貫したサポート
・スタッフと相談しながらじっくり進められる
・就労経験が少ない、またはブランクがある方
・スキルアップと就職活動を並行したい方
障害者専門の転職エージェント・専門アドバイザーによる個別サポート・非公開求人や質の高い求人が見つかる可能性
・企業との条件交渉などを代行してくれる
・自分の強みや適性を客観的に知りたい方
・キャリアアップを目指したい方
一般の求人サイト・圧倒的な求人情報量・自分のペースでいつでも探せる
・幅広い業種や職種から検討できる
・ある程度自分の希望が明確になっている方
・多くの選択肢の中から比較検討したい方

これらの方法を一つに絞る必要はありません。例えば、就労移行支援事業所に通いながら、ハローワークや転職エージェントも併用することで、より多くの情報を得て、ご自身に最適な職場を見つける可能性を高めることができます。

まとめ ~就労継続支援B型という選択肢~

就職支援ガイドまとめ

これまで、発達障がいのある方の就職活動について、特性の理解から求人情報の選び方、面接対策までを解説してきました。自分らしい働き方を見つけるためには、いくつかの重要なポイントがあります。ここでは、その要点を改めて整理します。

  • 自己理解から始める まずは、ご自身の特性を「強み」と「課題」の両面から客観的に把握することが全てのスタート地点です。何が得意で、どのような環境であれば能力を発揮しやすいのかを理解することが、適切な仕事選びにつながります。
  • 多角的な視点で求人を選ぶ 給与や勤務地といった条件面だけでなく、「具体的な業務内容」「求められるスキル」「職場の環境」「障害への配慮」といった多角的な視点で求人情報を吟味し、ミスマッチを防ぐことが重要です。
  • 求める配慮を具体的に伝える準備をする 苦手なことに対して、自分自身で実践している工夫や対処法を整理しておきましょう。その上で、企業側にどのようなサポートや配慮を求めるのかを具体的に伝えられるように準備しておくことで、入社後のスムーズな就労につながります。
  • 一人で抱え込まず、支援機関を活用する 就職活動は一人で進める必要はありません。就労移行支援事業所やハローワーク、障害者専門の転職エージェントなど、専門的な知識を持つ支援機関は数多く存在します。これらの機関を積極的に活用し、客観的なアドバイスを受けながら進めることが有効です。

これらのステップを一つひとつ丁寧に進めることが、ご自身の能力を最大限に発揮でき、安心して長く働き続けられる職場との出会いにつながります。焦らず、ご自身のペースで取り組むことが大切です。

就労継続支援B型という選択肢

ここまで一般企業への就職を目指すための方法について解説してきましたが、働くための選択肢はそれだけではありません。すぐに企業で働くことに不安を感じる方や、まずはご自身のペースで働くことに慣れていきたいという方にとって、「就労継続支援B型」という選択肢があります。

就労継続支援B型は、障がいや病気によって一般企業で働くことが現時点では難しい方が、軽作業などの生産活動を通して就労訓練を行うことができる福祉サービスです。企業と雇用契約を結ばないため、ご自身の体調やペースに合わせて通所日数や時間を調整しやすいのが大きな特徴です。行った作業に対しては、「工賃」が支払われます。

■ 就労継続支援B型は、このような方に向いています

  • すぐにフルタイムで働くことに体力的な不安がある方
  • まずは生活リズムを整えるところから始めたい方
  • 働くことへの自信を少しずつ取り戻したい方
  • 同じような境遇の仲間と交流しながら、社会とのつながりを持ちたい方
  • 将来的な一般就労を目指すための、準備段階として利用したい方

■ 就労移行支援との違い

就職を目指すための福祉サービスとして「就労移行支援」もありますが、B型とは目的や利用形態が異なります。

項目就労継続支援B型就労移行支援
主な目的働く場所の提供、生産活動の機会提供一般企業への就職に向けた訓練と準備
雇用契約なしなし
利用期間原則として制限なし原則2年間
対価工賃(生産活動に対して支払われる)原則としてなし(訓練のため)

一般就労だけが唯一のゴールではありません。就労継続支援B型事業所は、社会参加への第一歩を踏み出し、安心して働ける場所を見つけるための大切なステップになり得ます。ご自身の状況や目指したい将来像に合わせて、こうした選択肢があることもぜひ知っておいてください。

私たち就労継続支援B型カチカでは、障がいを持つ方が自分のペースで短時間から始められる作業や特性を最大限に活かせる仕事を通じて、「自分に合った持続可能な働き方」 を見つけるお手伝いをいたします。

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